医学部受験について調べ始めると、
「総合型選抜」「学校推薦型選抜」「公募推薦」「指定校推薦」「地域枠」
など、似たような言葉が次々に出てきます。
「総合型選抜と推薦入試は何が違うの?」
「公募推薦と指定校推薦は同じもの?」
「総合型選抜なら学校からの推薦はいらない?」
「医学部の総合型選抜は浪人生でも受験できる?」
このような疑問を持つ高校生や保護者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、医学部受験を初めて調べる方にも分かるように、
総合型選抜・学校推薦型選抜・公募型・指定校型の違いを、
できるだけ簡単に整理して解説します。
まずはこれだけ|医学部入試の全体像
最初から細かな制度をすべて覚える必要はありません。
まずは、次の関係を理解してください。
↓
一般選抜
総合型選抜
学校推薦型選抜
↓
学校推薦型選抜には「公募型」「指定校型」などがある
「総合型選抜」と「学校推薦型選抜」は別の選抜方式です。
そして「公募型」「指定校型」は、学校推薦型選抜を理解するときに重要な区分です。
4つの入試方式を一言で理解すると
◀ 横にスクロールして確認できます ▶
| 入試方式 | まずはこう理解してください |
|---|---|
| 一般選抜 | 主に学力試験によって合否を競う |
| 総合型選抜 | 大学が求める学生像との適性などを、学力も含めて総合的に評価する |
| 公募型推薦 | 大学の出願条件を満たし、高校から推薦を受けて挑戦する |
| 指定校推薦 | 大学から高校に与えられた推薦枠を利用する |
この違いを理解できれば、医学部の総合型選抜・学校推薦型選抜を調べるときの土台ができます。
ここから一つずつ見ていきましょう。
医学部の総合型選抜とは?
総合型選抜は、かつて「AO入試」と呼ばれていた入試につながる選抜方式です。
一般選抜では学力試験の結果が大きな判断材料になります。
一方、総合型選抜では、大学が掲げるアドミッション・ポリシーなどに基づき、
さまざまな方法を用いて受験生を評価します。
例えば、
- 志望理由
- 高校までの学習
- 活動実績
- 面接
- 小論文
- プレゼンテーション
- 学力試験・基礎学力試験
- 大学入学共通テスト
などを組み合わせて選考することがあります。
ただし、すべての大学が同じ方法で選抜するわけではありません。
同じ「総合型選抜」という名称でも、大学によって出願資格や試験内容は大きく異なります。
「総合型選抜=学力がいらない入試」ではありません
ここは医学部受験では特に重要です。
総合型選抜という言葉から、
「一般選抜より学力を問われない入試」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、医学部ではそのように単純には考えられません。
大学によっては英語・数学・理科などの学力試験や基礎学力検査を課したり、
共通テストを選考に利用したりする方式もあります。
総合型選抜であっても、医学部を目指すための学力が重要であることに変わりはありません。
学校推薦型選抜とは?
学校推薦型選抜は、その名称のとおり、
高校などからの推薦に基づいて出願する選抜方式です。
そして、学校推薦型選抜を理解するときによく出てくるのが、
「公募型」と「指定校型」です。
この2つの違いは、具体例で考えると分かりやすくなります。
公募型推薦とは?
例えば、A医科大学医学部が次のような出願条件を設定したとします。
・学習成績の状況4.0以上
・現役または1浪まで
・指定された数学・理科科目を履修していること
・学校長から推薦を受けられること
この条件を満たし、高校から推薦を受けた受験生が出願する。
これが公募型を理解する基本的なイメージです。
公募型は「大学が示す条件」を確認する
公募型を考えるときにまず確認するのは、
「自分の高校に指定校推薦の枠が来ているか」ではありません。
重要なのは、
「自分が、その大学が定める出願条件を満たしているか」
です。
分かりやすく言えば、
公募型=大学が示した条件を満たし、高校から推薦を受けて挑戦する入試
と考えると理解しやすいでしょう。
「公募」という言葉から「誰でも自由に応募できる」と思われることがありますが、
学校推薦型選抜ですから、学校からの推薦や大学が定める出願資格が必要になります。
指定校推薦とは?
指定校型は、公募型とは仕組みが異なります。
例えばA医科大学からB高校に、
という推薦枠が与えられているとします。
その枠を利用したい生徒が複数いる場合は、まず高校内で誰を推薦するかを決めることになります。
つまり、指定校型では、
大学が特定の高校に推薦枠を与えていることが大きな特徴です。
指定校型=大学から自分の高校に与えられた推薦枠を利用する入試
公募推薦と指定校推薦の違いは?
ここまでを、もう一度簡単に整理してみましょう。
大学が出願条件を示す
↓
自分が条件を満たしているか確認
↓
高校から推薦を受ける
↓
大学の選抜を受ける
大学が特定の高校に推薦枠を与える
↓
高校内で推薦者を決める
↓
高校から推薦を受ける
↓
大学の選抜を受ける
公募型=大学の出願条件を満たして挑戦
指定校型=自分の高校に与えられた推薦枠を利用
総合型選抜と公募推薦は何が違う?
ここも非常によく混同されるところです。
まず覚えていただきたいのは、
公募型推薦は「学校推薦型選抜」です。
したがって、公募型では学校からの推薦が必要です。
一方、総合型選抜は学校推薦型選抜とは別の選抜方式です。
ただし、総合型選抜でも大学・方式によって出願条件や必要書類が設定されています。
そのため、
「総合型なら高校は一切関係ない」などと一律に考えるのではなく、必ずその年度の募集要項を確認すること
が重要です。
医学部でよく聞く「地域枠」とは?
医学部受験では、さらに「地域枠」という言葉が登場します。
ここで注意したいのは、
地域枠は「総合型選抜」「学校推薦型選抜」「一般選抜」と同じ意味の分類とは限らない
ということです。
大学によっては学校推薦型選抜の中に地域枠が設けられていたり、
一般選抜の中に地域枠が設けられていたりします。
また、方式によっては、
- 出身地域
- 出身高校の所在地
- 居住地
- 卒業後の勤務
- 指定された地域での一定期間の勤務
などの条件が設けられる場合があります。
「地域枠=推薦入試」と決めつけず、その大学ではどの選抜方式の中に地域枠が設定されているのかを確認しましょう。
医学部の総合型選抜は浪人生でも受けられる?
結論から言うと、
大学・選抜方式によって異なります。
現役生だけを対象とする方式もあれば、既卒者が出願できる方式もあります。
さらに、
「1浪まで」「卒業年度に条件あり」など、
卒業後の年数に条件が設けられている方式もあります。
そのため、
「浪人生なら総合型選抜を利用できない」
と一括りにはできません。
理数塾では、2027年度私立医学部の総合型選抜・学校推薦型選抜について、
現役・既卒、評定、試験日程などを大学別に整理しています。
医学部の総合型選抜・公募推薦には評定が必要?
これも大学によって異なります。
特に学校推薦型選抜では、学習成績の状況について一定の基準が設けられていることがあります。
例えば評定4.2の受験生がいたとしても、
- A大学は4.0以上なので条件を満たす
- B大学は4.3以上なので条件を満たさない
- C大学では評定以外の条件も必要
ということがあります。
「評定が高い=どの医学部推薦でも受験できる」というわけではありません。
反対に、評定だけを見て
「自分には総合型選抜は無理だ」
と決めつけるのも早い場合があります。
総合型選抜では、評定の数値条件を含め、大学・方式によって出願資格が異なるからです。
医学部の総合型選抜は専願?併願できる?
これも、大学・選抜方式によって異なります。
合格した場合に入学することを前提とする方式もあれば、
他大学との併願を認める方式もあります。
ですから、
「受験資格があるから出願する」
というところだけで判断してはいけません。
出願前に「合格した場合の入学条件」まで必ず確認しましょう。
複数の医学部を受験する場合は、
試験日程だけでなく、専願・併願の条件まで含めて受験計画を立てる必要があります。
医学部の総合型選抜でも学力試験はある?
あります。
ただし、その内容は大学によって大きく異なります。
例えば、
- 英語
- 数学
- 理科
- 基礎学力検査
- 適性検査
- 小論文
- 面接
- 大学入学共通テスト
などを組み合わせる場合があります。
ここでも大切なのは、
「総合型選抜」という名前だけを見て、試験内容を判断しないこと。
です。
医学部の総合型・推薦を調べるときは何から見る?
医学部の総合型選抜を調べ始めると、
「面接では何を聞かれる?」
「小論文は難しい?」
「数学は出る?」
と、試験内容が気になると思います。
しかし、その前に確認することがあります。
まず「自分が出願できるか」を確認する
◀ 横にスクロールして確認できます ▶
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 現役・既卒 | 現役限定か、既卒も出願できるか |
| 浪人年数 | 卒業後の年数に制限があるか |
| 評定 | 学習成績の状況に基準があるか |
| 履修科目 | 数学・理科等の履修条件があるか |
| 英語資格 | 英検等の条件があるか |
| 地域条件 | 出身地・高校所在地等の条件があるか |
| 推薦 | 学校長推薦等が必要か |
| 専願・併願 | 合格後の入学条件はどうなっているか |
| 共通テスト | 大学入学共通テストの受験が必要か |
| 選抜方法 | 学力・面接・小論文等の何が課されるか |
試験問題を調べる前に、まず「自分が出願できるのか」を確認する。
この順番が重要です。
実際にどの私立医学部で総合型・学校推薦型選抜がある?
制度の違いが分かったら、次に知りたいのは、
「自分が受験できる医学部はどこなのか?」
ではないでしょうか。
ここからが、実際の志望校選びです。
私立医学部では大学によって、
募集人員・現役/既卒・評定・出願資格・専願/併願・出願期間・試験日・選抜方法
などが異なります。
大学ごとの出願期間・試験日・合格発表・評定・浪人可否などを整理しています。
大学名から各大学の詳しい入試情報へ進むこともできます。
「総合型がある」と「自分が受けられる」は違う
ここまで読んでいただくと、医学部の総合型選抜について重要なことが見えてきます。
例えば、
「○○大学医学部に総合型選抜がある」
という情報だけでは十分ではありません。
次に、
- 自分の卒業年度は条件を満たすか
- 評定は足りているか
- 必要な科目を履修しているか
- 地域条件はあるか
- 専願なのか、併願できるのか
- どのような試験を受けるのか
まで確認する必要があります。
「総合型選抜がある大学を探す」ことと、
「自分が受験できる大学を探す」ことは違います。
令和の医学部受験では「入試制度を知ること」も重要
医学部合格のために、数学・英語・物理・化学などの学力を伸ばすことが重要なのは、
今も昔も変わりません。
しかし、医学部入試には一般選抜だけでなく、
総合型選抜、学校推薦型選抜、公募型、地域枠など、
さまざまな選択肢があります。
だからこそ、令和の医学部受験では、
「勉強すること」と「入試制度を知ること」
その両方が重要です。
ただし、
「総合型選抜があるから受ける」
「推薦の方が早く決まるから受ける」
ということではありません。
まず制度を正しく理解する。
次に、自分の条件と照らし合わせる。
そのうえで、どの選抜方式を利用できるのかを考える。
入試情報を知ることは、受験戦略を考えるための第一歩です。
理数塾では医学部入試情報を大学別に発信しています
医学部受験専門理数塾では、医学部入試について大学公式の募集要項や発表を確認しながら、
大学別の入試情報を整理して発信しています。
特に総合型選抜・学校推薦型選抜では、
大学によって出願資格や試験内容が大きく異なるため、
大学別に確認することが重要です。
今回の記事で、
「総合型・公募・指定校の違いは分かった」
という方は、次に実際の大学を調べてみてください。
まとめ|総合型・公募・指定校の違いはこれだけ覚えよう
総合型選抜
大学が求める学生像との適性などを、学力も含め総合的に評価する選抜。
学校推薦型選抜
高校などからの推薦に基づいて出願する選抜。
公募型
大学が定めた出願条件を満たし、高校から推薦を受けて挑戦する。
指定校型
大学から高校に与えられた推薦枠を利用する。
そして医学部受験で大切なのは、
入試方式の名前だけで判断しないことです。
同じ「総合型選抜」という名称でも、
大学によって出願資格も試験内容も異なります。
まず制度を理解する。
次に、自分が利用できる大学を調べる。
そのうえで、自分に合った受験方法を考える。
これが、複雑になった「令和の医学部受験」を考える第一歩です。
今回は、総合型選抜・学校推薦型選抜・公募型・指定校型の違いを中心に解説しました。
しかし、制度を理解しただけでは受験戦略は完成しません。
「総合型選抜を受けられるなら、本当に受けた方がよいのか?」
「総合型・推薦型の準備と一般選抜に向けた学習を、どう両立すればよいのか?」
今後の「令和の医学部受験」では、こうしたテーマについても詳しく取り上げていきます。
