2023年 関西医科大学医学部 過去問全問解説
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関西医科後期入学試験概要
出願期間
令和6年2月1日(木)~令和6年2月16日(金)当日消印有効
入学試験日程
令和6年3月2日(土)
試験会場
関西医科大学 枚方キャンパス
関西医科2023年入学試験【前期】問題
化学問題
第一問
以下の図,表を使用して問いに答えなさい。
(図は編集の都合により表示できません)
問1 密閉容器にブタンのみが入っており,-20℃ではその容器の半分がブタンの液体であった。以下の(ア)~(エ)の各文章について,必要ならば図1を参考にして,正しいものには〇を,間違っているものには×を,それぞれ解答欄(ア)~(エ)に答えなさい。
(ア) 1013hPa,-10℃の屋外で容器の栓を開けると容器から気体の流出はほとんどなかった。
(イ) 密閉容器を30℃にすると,容器内の圧力は3×105Paを超えていた。
(ウ) ペンタンの蒸気圧曲線は,図1のグラフになった。
(エ) 同じ温度で比べると2-メチルプロパンはブタンより蒸気圧が高い。
問2 ブタンが充填されているガスボンベがある。残量が少なくなったので,廃棄のために図2左のように栓を開けてガスを自然に流出させ,ガスが出なくなったのを確認した後に栓を閉じた。この時点でガスボンベの質量を測定したところ910.5gであった。次に,このガスボンベに図2右のように真空ポンプをつなぎ,栓を開いて,ガスボンベ内部の気体を全て吸引した後に再び栓を閉じた。真空ポンプを取り外し,再びガスボンベの質量を測定したところ898.9gであった。作業時のガスボンベの温度は30.0℃,大気圧は1010hPaであった。このガスボンベの内容積は何Lか。解答欄に有効数字3桁で答えなさい。
問3 炭化水素Aの分子式をCxHyとしたとき,炭化水素Aの燃焼熱は何kJ/molか。表の値をもとに計算し,もっとも簡単な文字式で表し,解答欄に答えなさい。なお,燃焼により生じる二酸化炭素は気体,水は液体であるとし,炭化水素Aの生成熱をakJ/molとする。
問4 近年,炭化水素の燃焼により生じる二酸化炭素の排出量を少なくする方法が検討されており,その一つにアンモニアを燃料として利用する方法がある。
気体のアンモニアの燃焼熱は何kJ/molか。表の値をもとに計算し,小数点以下を四捨五入して,解答欄に整数で答えなさい。なお,燃焼により水が生じる場合は液体の水が生じるものとする。
問5 アンモニアの燃焼などで生じる窒素酸化物は有害な化合物である。これらの窒素酸化物を減らすためにアンモニアおよび酸素と反応させて窒素と水に分解する試みがなされている。
窒素酸化物を一酸化窒素として,アンモニアと酸素による一酸化窒素の分解反応を化学反応式で表し,解答欄に答えなさい。
第二問
以下の[実験1]から[実験5]に関する文章を読み,問いに答えなさい。
[実験1] 希硫酸の入ったビーカーに鉄片を入れると気体を発生して溶けた。この水溶液は鉄(Ⅱ)イオンを含み淡緑色をしていたが,そこに試薬Aを加えると青白色の沈殿が生じた。
[実験2] 銅に濃硫酸を加えて加熱すると気体が発生した。この気体を水に通じると水溶液は酸性を示した。
[実験3] 3種類の金属の硝酸塩を溶かした混合溶液に,以下(ⅰ)~(ⅲ)の一連の操作を行った。
(ⅰ) 希塩酸を加えると白色沈殿が生じた。この沈殿をろ過により分離したのち,熱水に加えたところ溶解した。
(ⅱ) (ⅰ)のろ液に硫化水素を通じると黒色沈殿が生じた。この沈殿をろ過により分離した。
(ⅲ) (ⅱ)のろ液を煮沸して硫化水素を追い出したのち,希硝酸を加え,さらにアンモニア水を過剰に加えたところ沈殿が生じた。この沈殿をろ過により分離したのち,過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を加えると沈殿は溶解した。
[実験4] アルゴンが充填された密閉容器内で,ある金属Mの酸化物(MO2)と炭素の混合物を高温で熱した。加熱終了後の容器には金属Mの単体,炭素,および気体のみが存在していた。この気体は,一酸化炭素,二酸化炭素,アルゴンの3種類の気体の混合物であり,その物質量の比は4:1:5であった。また,この気体の体積は,標準状態で10.00Lであった。
[実験5] 塩化ナトリウムの飽和水溶液にアンモニアと二酸化炭素を吹き込むと炭酸水素ナトリウムが沈殿した。この沈殿をろ過により分離したのち加熱したところ,化合物Xが生成した。
問1 [実験1]の下線部で加えた試薬Aに含まれる化合物の名称を解答欄(ⅰ)に,その組成式を解答欄(ⅱ)に答えなさい。
問2 [実験2]の下線部を化学反応式で表し,解答欄に答えなさい。
問3 [実験3]で,下線部の溶液に含まれていた可能性のあるイオンの組み合わせとして最も適切なものはどれか,(ア)~(ケ)から一つ選び解答欄に記号で答えなさい。
(ア) Ag+,Al3+,Cu2+ (イ) Ag+,Cu2+,Fe3+ (ウ) Ag+,Ba2+,Fe3+
(エ) Ag+,Cu2+,Pb2+ (オ) Al3+,Ba2+,Pb2+ (カ) Al3+,Fe3+,Pb2+
(キ) Al3+,Cu2+,Pb2+ (ク) Ba2+,Cu2+,Fe3+ (ケ) Ba2+,Cu2+,Pb2+
問4 [実験4]で,加熱前のMO2の質量をxgとすると,加熱後に得られた金属Mの質量は何gか。ただし,標準状態における気体のモル体積を22.4L/molとして計算し,解答欄にxを含む文字式で答えなさい。
問5 [実験5]はアンモニアソーダ法の一部の反応である。この反応で得られた化合物Xを,水に溶解した後に結晶化すると透明な結晶Yが得られた。この結晶Yを空気中に放置していたところ,白色粉末状の結晶Zに変化した。
結晶Yの化合物名を解答欄(ⅰ)に答えなさい。また結晶Yが結晶Zのように変化する現象を何というか。その名称を解答欄(ⅱ)に答えなさい。
第三問
以下の文章を読み,問いに答えなさい。
(図は編集の都合により表示できません)
5種類の繊維A~Eがある。これらの繊維はビニロン,ナイロン6(6-ナイロン),綿(木綿),羊毛(毛),アクリル繊維のいずれかであることがわかっている。それぞれについて以下の調査や実験を行い,その結果を表にまとめた。
[調査や実験]
①:天然繊維か合成繊維かについて調べた。
②:それぞれの繊維を試験管に少量入れて濃塩酸を加えて加熱した。
③:②の実験で加水分解されたものについて,塩酸を揮発させて除去した後,水を加えた。
④:③の一部を新しい試験管に取り,ニンヒドリン溶液を加えて加熱した。
⑤:③の一部を新しい試験管に取り,フェーリング液を加えて加熱した。
⑥:その他,各繊維の特徴などを調べた。
問1 ④で繊維Aと繊維Eにおいて何色の呈色が観察されたかを解答欄(ⅰ)に,その呈色に寄与した官能基名を解答欄(ⅱ)にそれぞれ答えなさい。
問2 繊維Bは,ポリビニルアルコールのヒドロキシ基を部分的にアセタール化して合成される。1.00kgのポリビニルアルコールのヒドロキシ基の35.2%をアセタール化して繊維Bを合成すると,元のポリビニルアルコールから質量が何g増加するか。有効数字3桁で解答欄に答えなさい。
問3 繊維Cは,シュワイツァー試薬(シュバイツァー試薬)に溶ける。シュワイツァー試薬は,水酸化銅(Ⅱ)に濃アンモニア水を加えてつくられる深青色の溶液である。このシュワイツァー試薬をつくる際の反応をイオン反応式で表し,解答欄に答えなさい。
問4 繊維Dはある有機溶媒に溶ける。この有機溶媒100gに50.5gの繊維Dを溶かし,その溶液の凝固点を測定したところ凝固点降下度は0.17Kであった。繊維Dの平均分子量を解答欄に整数で答えなさい。なお,この有機溶媒のモル凝固点降下を4.08K・kg/molとする。
問5 繊維Eの合成に用いられる単量体の構造式を解答欄に答えなさい。なお構造式を書く際には,問題表紙の例を参考にし,原子間の全ての結合の価標を略さずに書くこと。
第四問
以下の文章を読み,問いに答えなさい。
動物は呼吸により大気中の酸素を体内に取り込み,生じた二酸化炭素を体外へと排出する。取り込まれた酸素はその後,体内で炭水化物などの酸化に利用される。
この呼吸に関しての模擬実験をおこなった。体内に取り込む前の空気と,体外へ排出された後の呼気に含まれる3種類の気体(酸素,二酸化炭素,窒素)の物質量の割合を調べると以下の表の通りであった。
ここでは取り込む空気や排出された呼気には3種類の気体のみが存在し,それぞれの気体は理想気体としてふるまうものとする。
問1 27℃,1.01×105Paの空気を大きく吸い込んだところ,取り込まれた空気の体積は3.00Lであった。この空気に含まれていた酸素は何gか。解答欄に有効数字3桁で答えなさい。
問2 大きく吐き出した呼気の体積は,37℃,1.01×105Paで3.00Lであった。この呼気に含まれていた二酸化炭素の分圧は何Paか。解答欄に有効数字3桁で答えなさい。
問3 1回の呼吸において,27℃,1.01×105Paの空気を0.300L吸い込み,37℃,1.01×105Paで0.310Lの呼気を出した。この時,体内へ取り込まれた酸素は何molか。解答欄に有効数字3桁で答えなさい。
問4 動物は酸素を利用して細胞内で物質を酸化することで多くのエネルギーを獲得している。いま,体内でマルトースが酸素により完全に酸化されたとする。この反応を化学反応式で表し,解答欄に答えなさい。
問5 呼吸により1.12gの酸素を体内に取り込み,この酸素がすべてデンプンの完全な酸化に用いられたとする。このとき何gのデンプンを酸化することができるか。解答欄に有効数字3桁で答えなさい。